ニライカナイは常世(とこよ)の国と現世を往来できる所とされ、火や稲をはじめ、人々の祖先もここから渡来したとされていました。

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沖縄の信仰 『ニライカナイ』

沖縄の信仰 『ニライカナイ』

沖縄南部にある知念村の国道331号線を走っていると山側に大きな橋があります。ニライ橋とカナイ橋が合わさりニライカナイ橋といい、ニライカナイとは沖縄の方言で「海の向こうにある理想郷」を意味します。橋の上からは沖縄の美しい海を一望でき、久高島やコマカ島も見ることが出来る絶景ビューポイントとして有名です。まさに「ニライカナイ」です。

今回は沖縄の信仰であるニライカナイについて綴っていきます。

はるか昔、沖縄で生まれ育った人たちは毎日遠くにある水平線を見て暮らしていました。はるか水平線のかなたには人々が求めている理想郷があると信じられてきました。人々が思う理想郷とは、自分たちの住む世界と違った、着るものも住むところも華やかで珍しいものに囲まれた理想の学園でした。理想郷には崇高な神がいて神のもとにいろいろな神様が集い平和で幸福な理想郷を築いていると信じ、憧れていました。この憧れの世界を人々は「ニライ・カナイ」と呼び信仰していました。

ニライカナイは常世(とこよ)の国と現世を往来できる所とされ、火や稲をはじめ、人々の祖先もここから渡来したとされていました。毎年ここから神々が人間の世界を訪問し,人間に種々の豊饒繁栄をもたらすともいわれてきました。そのため、沖縄本島南部には、ニライカナイを祀った拝所も多く、今でも、はるか彼方の海の方向を拝む年配の方は多いそうです。

ニライカナイにまつわるお祭りは各地にあり、沖縄西表島の節祭では各村で爬竜(ハーリー)が行われます。ハーリーとは、海人(うみんちゅ=漁師)による豊漁や航海無事を祈願するための祭りです。そのハーリーが村にもどるとき女たちは神を踊りと独特の手招きで迎えます。これらの競争は東西に分かれて行われ,西組が勝つとよいとされています。それは南島では来訪神が東方はるかなる「ニライカナイ」から来ると信じられているからです。来訪神の第3の形態は,仮面仮装の形はとらないが,子どもたちが来訪して来る形態をとるものであるとされています。

ニライ・カナイという言葉は、島によってその呼び方が違い、ニルヤ、ニーラ、ニロー等といわれ、日本の浦島伝説にみられる竜宮の観念と重なるところもあるために竜宮ともいわれています。ニライカナイの語源を探っていくと、 「ニ」は「根」を意味し、「ラ」は地理的空間を表す接尾語、「イ」は方向を示す接尾語、つまり「ニライ」とは「根のあるところ」「根の国」という意味であると考えるのが一般的になっています。「カナイ」については、琉球語によく使われる意味をともなわない対句表現とみられています。

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